日本の紙パルプ産業は、操業技術の高さや製品の高品質、多様性などで、世界有数のレベルに今日あるといわれている。また、大企業や大工場のほか、多様な中小企業や中小工場も多数あって、それぞれが独自な競争力を追求すべく努めている。そこでは、事業経営における効率性や合理性の追求もさることながら、職務実践の現場において、経験や習熟の蓄積、活用が少なからず重視されてきた。人材の育成や活用、経営諸革新の導入なども、後者の側面を踏まえながら取り組まれ、それが紙パルプ産業における企業経営活動の要諦となってきた。そのようなやり方の継続的な積み重ねを通して、それぞれの企業が業界で生き残るための競争力を追求、構築してきていることを把握できた。
|