本研究は、過去20年間にわたって日本国内で発生した企業不祥事の事例をできるだけ網羅的に収集し、一定の形式を備えたデータベースを作成することを狙いとしている。平成22年度は、企業不祥事の定義付け、概念化等の作業を行った上で、企業が関わった主要な事故または不正の事例サンプルを収集する作業を行った。事例サンプルを収集するために雇い入れた学生アルバイトを使い、まず、新聞縮刷版の索引をコピーし、その中から重要と思われる事故・事件を抽出する作業を行った。この抽出作業は年度内に基本的に完了した。抽出作業が完了した期間については個々の不祥事の概要を示す作業に取りかかった。しかしながら、この概要作成作業については、縮刷版からの情報の読み取り、および、概略化に予想していた以上に時間と能力が要求されることが判明した。そのため、概略化の作業については有料データベースから情報を引き出す方向に作業方法をシフトすることを決断した。平成23年度についても引き続き有料データベースを利用して情報を収集し、抽出した事例内容の概略化を行う予定である。すでに社会的に評価が確定しているような社会的に影響の大きかった不祥事については、一般的な評価を参照しつつ概略化を進めることで対応することになる。収集した事例データ、および概略化作業を終えたデータを保存する際には、所定のデータベース形式に沿ってデータを整える。こうした作業を進めることによって最終的には、企業の不祥事の数量的な把握ならびに企業不祥事に関する経年的観察等ができるようになることが期待される。
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