研究概要 |
平成23年度では,近年,開発・販売が増加している低燃費自動車やアイドリングストップ機構を搭載した環境対応自動車生産の現状について調査をすすめた。自動車メーカーでは,各社が特色のある戦略を打ち出していることが分かった。 環境対応自動車の代表ともいえるハイブリッド車が販売される一方で,従来のエンジンを改良したタイプの自動車も見られ,内燃エンジンから直線的にハイブリッドや燃料電池車へのシフトが進行しない可能性もあることを示唆するケースも見られた。自動車メーカーのマツダでは,従来のガソリンエンジンの改良を重ねた新型エンジンの開発に成功し,本格的な販売に入ったことから,機械系部品の地場サプライヤーにおいて急激な構造転換が起こる可能性は低下したと考えられる。 その他のメーカーでは,ハイブリッド技術を核とした新車販売を推進する一方で,スマートグリッドを念頭においた新たな自動車の在り方を模索していた。今後の生活における自動車が電気エネルギー源として,新たな社会的役割を担うことが再確認できた。 以上から,環境対応型自動車に関する部品開発,取引だけにサプライヤーの活路があるわけではなく,自動車以外での分野への販路拡大の可能性も十分にあると考えられた。今後は,こうした多角化の視点もふまえならが,当初の目的に沿った中国・九州の地域の枠組みを超えた部品サプライヤーの新たな関係について考察を進める。これらの結果は,各地域の産業活性化のみならず,日本の自動車産業全体の国際競争力の向上にも寄与するものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の達成度が当初の計画よりも遅れている理由として,新しい分析枠組の構築をあげた。研究期間の制約上,理論的に説明しきれていない部分があったとしても,現状では研究の根幹にかかわるほどの重要性を持たないレベルになっている。そのため,新しい分析枠組に基づくパイロットスタディ的な調査を進めていくことで,研究遂行を図っていく。
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