本研究では、チェーンストア組織体制をもって登場してきた大規模小売企業において、本社と海外子会社との関係、そして本部と店舗との関係を組織学習プロセスおよび権限委譲の問題を通じて明らかにしている。例えば、アジア市場に進出し成功を収めつつあるコストコはマニュアル管理型組織である一方、現場の権限委譲が一切認められず、作業のマニュアル化がそれほど進んでいないカルフールは、どちらかというと本部主導型組織であった。本部がすべてを仕切る欧米流の組織管理手法と違って、現場に権限と責任を与えながら、規模の経済性を追求している企業こそが国内だけではなく、海外現地市場でよいポジションを決めることができる。
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