本研究では,児童・生徒の概念的理解を促進することを目標に,小学校から高校に至る複数教科で「協同的探究学習」による授業を継続的に実施し,学習のプロセスと効果を教育心理学的に評価した。概念的理解を測る記述型課題を中高一貫校の一年間の学習の前後に実施して各生徒の記述内容の変化を分析した結果,変化率などに関する理解が3つの水準間の移行として漸進的に深化することが示された。また小学生の概念的理解を促進するために算数科などで協同的探究学習による授業を継続的に組織した。発話やワークシートの分析から,日常性を重視した問題の設定,多様な考えの関連づけを重視した討論の組織などが理解向上につながることが示唆された。
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