感情の筆記による心身の健康増進・高次認知機能向上に関する認知行動論的研究

2012 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 22530743
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 臨床心理学
• 研究機関: 徳島大学
• 研究代表者: 佐藤 健二 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10318818)
• 連携研究者: 余語 真夫 同志社大学, 心理学部, 教授 (90247792) ; 河野 和明 東海学園大学, 人文学部, 教授 (30271381) ; 大平 英樹 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (90221837) ; 湯川 進太郎 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 准教授 (60323234)
• 研究期間 (年度): 2010 – 2012
• キーワード: 健康心理学 / 健康増進 / 感情筆記 / 認知行動論

研究概要

本研究の目的は感情の筆記が心身の健康増進・高次認知機能に及ぼす影響に関して,認知行動論的観点から検討することであった。否定的思考から距離をおく(距離化)よう構造化された筆記が,自由に感情や思考を筆記する条件や統制条件よりも精神的健康(外傷後ストレス反応など)や高次認知機能(ワーキング・メモリなど)を増進させる効果は見出されなかった。しかしながら,距離化の増大も示唆され,今後,さらに手続きの検討が必要である。

研究成果

• [雑誌論文] 対人的ネガティブ感情経験の開示と被開示者の反応-女子大学生を対象に- (2013)
  • 著者名/発表者名: 遠藤寛子・湯川進太郎
  • 雑誌名: 心理学研究 巻: 84 ページ: 1-9
  • 査読あり
• [雑誌論文] トラウマの構造化開示が外傷後ストレス反応とワーキング・メモリ容量に及ぼす影響-外傷後ストレス障害の認知モデルに基づく検討- (2012)
  • 著者名/発表者名: 中野収太・久楽貴恵・吉田真由子・佐藤健二
  • 雑誌名: 人間科学研究(徳島大学総合科学部紀要) 巻: 20 ページ: 31-48
• [雑誌論文] ストレス体験の構造化筆記開示が苦痛度および前頭前野血流量に及ぼす影響-予備的研究- (2012)
  • 著者名/発表者名: 塩田翔一・佐藤健二
  • 雑誌名: 人間科学研究(徳島大学総合科学部紀要) 巻: 20 ページ: 59-65
• [雑誌論文] The structure of mindful brain (2012)
  • 著者名/発表者名: Murakami, H., Nakao T, Matsunaga M, Kasuya Y, Shinoda J, Yamada J, Ohira H
  • 雑誌名: PLoS One 巻: 7 ページ: e46377
  • DOI: DOI:10.1371/journal.pone.0046377
  • 査読あり
• [雑誌論文] 急性ストレス負荷による唾液中分泌型免疫グロブリン A の時系列的変化 (2012)
  • 著者名/発表者名: 藤原修治・余語真夫
  • 雑誌名: 生理心理学と精神生理学 巻: 29 ページ: 193-203
  • 査読あり
• [雑誌論文] 自己隠蔽傾向および抑制的会話態度と否定的出来事評価の関係-回顧的調査による探索的検討- (2012)
  • 著者名/発表者名: 河野和明
  • 雑誌名: 東海学園大学研究紀要 巻: 17 ページ: 221-230
• [雑誌論文] 副次的感情の開示による感情労働者のバーンアウト低減の試み 携帯電話の電子メール機能を活用して- (2012)
  • 著者名/発表者名: 関谷大輝・湯川進太郎
  • 雑誌名: 感情心理学研究 巻: 20 ページ: 9-17
  • 査読あり
• [雑誌論文] ネガティブ感情体験の構造化開示が心身機能に及ぼす影響-メタ認知の視点からのメカニズム検討- (2011)
  • 著者名/発表者名: 松本祥史・吉田真由子・中野収太・佐藤健二
  • 雑誌名: 人間科学研究(徳島大学総合科学部紀要) 巻: 19 ページ: 31-48
• [雑誌論文] Feeling bad about screwing up: emotion regulation and action monitoring in the anterior cingulate cortex (2011)
  • 著者名/発表者名: Ichikawa, N., Siegle, G. J., Jones, N.P., Kamishima, K., Thompson, W. K., Gross, J. J., Ohira, H
  • 雑誌名: Cogn. Affect. Behav. Neurosci 巻: 11 ページ: 354-371
  • DOI: DOI:10.3758/s13415-011-0028-z
  • 査読あり
• [雑誌論文] Implicit attenuation of subsequent emotion by cognitive activity (2011)
  • 著者名/発表者名: Iida, S., Nakao, T., Ohira, H
  • 雑誌名: Cogn. Affect. Behav. Neurosci 巻: 11 ページ: 476-484
  • DOI: DOI:10.3758/s13415-011-0045-y
  • 査読あり
• [雑誌論文] 高校生における思考の未統合感と怒りの維持との関係 (2011)
  • 著者名/発表者名: 遠藤寛子・湯川進太郎
  • 雑誌名: カウンセリング研究 巻: 44 ページ: 92-100
  • 査読あり
• [雑誌論文] Phasic heart rate responses for anticipated threat situations. (2010)
  • 著者名/発表者名: Murakami, H., Matsunaga, M., Ohira, H
  • 雑誌名: Int. J. Psychophysiol 巻: 77 ページ: 21-25
  • DOI: DOI:10.1016/j.ijpsycho.2010.03.012
  • 査読あり
• [雑誌論文] Medial prefrontal cortex-dorsal anterior cingulate cortex connectivity during behavior selection without an objective correct answer (2010)
  • 著者名/発表者名: Nakao, T., Osumi, T., Ohira, H., Kasuya, Y., Shinoda, J., Yamada, J., Northoff, G.
  • 雑誌名: Neurosci. Lett 巻: 482 ページ: 220-224
  • DOI: DOI:10.1016/j.neulet.2010.07.041
  • 査読あり
• [学会発表] トラウマの筆記開示が心身機能に及ぼす影響(1)-時間的経過の統制群を用いた検討- (2012)
  • 著者名/発表者名: 佐藤健二・田邉絵里子・久楽貴恵・小柴郁緒・小口美佳
  • 学会等名: 第37回日本行動療法学会
  • 発表場所: 家の光会館(東京都)
  • 年月日: 2012-11-27
• [学会発表] トラウマの筆記開示が心身機能に及ぼす影響(1)-構造化開示が距離化に及ぼす影響の検討- (2012)
  • 著者名/発表者名: 小柴郁緒・濱岡里緒・湯浅明李・塩田翔一・佐藤健二
  • 学会等名: 第38回日本行動療法学会
  • 発表場所: 立命館大学(京都市)
  • 年月日: 2012-09-23
• [学会発表] K. The effects of structured disclosure to enhance cognitive restructuring of traumas on health and cognitive functioning: Examinations of disclosing in the present tense, decentering, and posttraumatic growth (2011)
  • 著者名/発表者名: Sato,K., & Kutara, K
  • 学会等名: The 5thInternational Conference ofthe (Non) Expression of Emotions in Health and Disease
  • 発表場所: Tilburg University (Tilburg, the Netherlands)
  • 年月日: 2011-10-23
• [学会発表] トラウマの筆記開示が心身機能に及ぼす影響(1)-構造化開示の教示の改訂とその影響の検討- (2010)
  • 著者名/発表者名: 長谷川千詠・小柴郁緒・吉田真由子・久楽貴恵・中野収太・佐藤健二
  • 学会等名: 第36回日本行動療法学会
  • 発表場所: ウインク愛知(名古屋市)
  • 年月日: 2010-12-06
• [図書] 感情心理学・入門 (2010)
  • 著者名/発表者名: 大平英樹
  • 総ページ数: 267
  • 出版者: 有斐閣