研究概要 |
本年度は4年間の研究のうちの2年目である。今年度は、 (1)Party代数のMurphy元の定義 (2)Murphy元を利用した半正規形式による既約表現の構成 (3)Cell表現と半正規形式による既約表現との関係の解明 を目標とした。これらの研究にあたっては、別のダイアグラム代数についての研究を行っていたGraham-Lherer, Mathas, Enyang氏達の文献調査が主であったが、偶然にもLherer, Mathas, Enyangの3氏が来日する機会があり、講演を聴いたり、討論する時間を取る事が出来た。とくにEnyang氏との討論の中でPartition代数の半正規形式の構成について文献に書かれていない計算上のトリックや、Cell表現の構成に伴うGram行列に関する漸化式など、Party代数の研究に応用できる斬新なアイディアをいくつか得ることが出来た。すでにParty代数のCell表現の構成については、ほぼアイディアは揃っており24年度中にその成果を発表できる見込みであるが、これらのアイディアを取り入れることにより、半単純でない表現の性質の解明も24年度中に出来る見込みが立てられた。 その他、平成23年6月に行われた「第14回代数群と量子群の表現論」に於いて、東京大学の森真樹氏との研究情報の交換の中で、森氏のカテゴリーの表現の研究が今後のダイアグラム代数の研究と密接に関連することが分かったので、7月には私が東京に出向き、9月には沖縄に森氏を招き勉強会を開いた。また、7月には名古屋で行われたBenjamin Elias氏のセミナーにも参加した。Elias氏の講演はヘッケ環のカテゴリー化に関するもので、やはりダイアグラム代数との関連の解明が期待される内容である。
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