研究概要 |
平成25年度はAdvance in Math.に掲載されたBrundan, Stroppel両氏による論文 Gradings on walled Brauer algebras and Khovanov's arc algebraの内容を仔細に検討することから始めた。両氏の論文は先に発表されたHighest Weight Categories Arising from Khovanov's Diagram Algebra I~IVに基づくもので、完全な理解のためにはこの一連の4つの論文の検討から始める必要があった。これらの両氏の論文はKhovanovによって記述されたトポロジーの結果を代数の言葉で書き直すことにより、主に表現論分野の「圏論化」に一つの方法を提供することに成功している。長い論文でありながら、論旨は明解であり、非常に読み易いものである一方、論旨をわかりやすくするために巧みな省略が行なわれており、もともとの論文の長さと相俟って、省略された部分を補いながら読むのは、非常に地道な作業となった。この作業はまだ続いているが、私の今までの結果に対する新たな知見なども得られており、今後の研究に繋がることが期待できるものである。この論文を仔細に検討している人はあまりいないようなので、自分の研究への応用を考える一方、他の研究者にこれらの論文の要旨を伝えることにも力を入れていきたいと思う。
|