研究概要 |
本研究は,「非コーエンマコーレイ環とは何か」という,素朴ではあるが深い問いかけに,正面から向き合うことを目的に開始された。具体的には下記3課題課題(1)(A,m)はNoether局所環,Qは環Aの巴系イデアルとし,I=Q:mq(q≧1)とおく。(a)イデアルQがIのreductionとなるための条件を,環Aと巴系イデアルQの言葉で記述する。(b)イデアルQがIのreductionになるとき,そのreduction数rQ(I)=min{n≧0|In+1=QIn}を,環Aや巴系イデアルQに関する不変量を用いて記述する。(c)イデアルQがIのreductionであるとき,blow-up代数R(I),G(I),F(I)=R(I)/mR(I)は,どのような環構造を持つか。Cohen-Macaulay環,Gorenstein環,あるいはBuchsbaum環となるための条件を,環Aと巴系イデアルQの言葉で記述する。課題(2)局所環(A,m)内の巴系イデアルQのHilbert函数とHilbert係数ei(A)(0≦i≦d=dimA)の挙動を解析し,これらの不変量の挙動や消滅が環Aの構造に与える影響を解明する。課題(3)局所環(A,m)内の巴系イデアルQに対し,その冪のRees代数環R(Qn)(n≧1)がGorenstein環となるための判定条件を求める。の解明を目指して実施され,3年間で満足すべき成果をあげることに成功した。成果は下記15編の論文として公表済である。
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