研究課題/領域番号 |
22540098
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
横井 勝弥 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90240184)
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研究分担者 |
保坂 哲也 静岡大学, 理学部, 准教授 (50344908)
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キーワード | 極限集合 / 力学系 / コクセター群 / CAT(0)空間 / ケーラー多様体 |
研究概要 |
研究課題の中心的な目的である「理想境界における次元解析と力学的構造」への応用を念頭におき、本年度は位相力学系的考察(極限集合と力学的構造)、微分幾何学的考察(コクセター群の境界、CAT(0)空間、ケーラー多様体)により研究を進めた。 位相的力学系の観点から:離散力学系における極限集合Wが無限の場合に、Wにおける孤立点は非周期的であることは良く知られた事実である。その拡張としてシャルコフスキーは、非周期点は極限集合において稠密に存在することを示した。横井は、その主張の非自励離散力学系の極限集合への拡張を試みた。非自励離散力学系は自励離散力学系(通常の離散的力学系とみなすことができる)の拡張・一般化として捉えることができるが、その力学的振る舞いは全く異なる。特に、連続関数列が一様に特定の関数に収束する状況において考察をし、関数列の力学的振る舞いと収束先の関数の力学的構造とにどのような関係があるかについて、極限集合と鎖回帰集合に対象を絞り、研究を進めた。 微分幾何学の観点から:保坂は、コクセター群のisometriesに関する先行研究をもとにして、コクセター群の境界の位相的フラクタル構造の研究をした。また、極限集合がコクセター群の境界で稠密にあることを示した。さらに、積形の群が幾何的に作用するCAT(0)空間について、ある種のsplitting theoremを示し、その応用として非正曲率のコンパクト測地空間に関するsplitting theoremを導いた。 連携協力者である山田は、ケーラー多様体についての研究を進めた。コンパクトケーラー多様体の正則ベクトル場の性質は詳細な先行研究がある。本研究では、コンパクト擬ケーラー多様体に関して同様の内容について研究をおこなった。また、リッチ平坦なケーラー多様体の類似の考察のため、リッチ平坦な擬ケーラー多様体が多く存在することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた研究が、研究の役割に応じて着実に進展しているため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調な状況であるため、当初の予定通りに、研究対象へ力学的方面と代数学・幾何学的方面からのアプローチを行い、着実な研究を積み重ねる事により深い洞察を行う。また、幾何学的対象を計算機上で視覚化することで研究を迅速かつ効率的に進め,他分野と密接な関連のある領域のため、広汎な資料収集や研究連絡等を有効に活用して、研究遂行する。
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