研究概要 |
横井は、非自励離散力学系における回帰性についての研究を行った。特に、系の列がある系に一様に収束する場合と同程度連続の場合について考察し、(1)系の列の極限集合の個数と収束先の系の極限集合の周期点の関係;(2)系の列の極限集合は常に収束先の系の鎖回帰集合の部分集合であること; (3)系の列の非遊走集合のボレル測度からみた大きさについての結果を得た。さらにこれらの系についての様々な例を構成し、研究対象の豊かさを示した。 保坂は、コクセター群, CAT(0)群やその作用に関連した研究を行った。(1)Gromoll-Wolf, Lawson-Yau, Schroeder, Bridson-Haefliger たちによるsplitting theorem のCAT(0)群・CAT(0)空間版、 つまり、CAT(0)群が幾何学的に作用するCAT(0)空間において「群が積に分解するとき, 群の積の分解に応じて作用する空間も積に分解する」ことを得た。その系として「2つの rigid CAT(0)群の積は rigid となる」ことも示した;(2)proper cocompact CAT(0)空間Xの漸近次元と境界の被覆次元を扱い, Xの漸近次元は, Xの境界の被覆次元よりも常に大きくなることを示した;(3)有限グラフと, simplicial flag complex と, 直角コクセター群の間の関係について研究し、この応用として再構成可能グラフの新しいクラスを与えた。すなわち, ホモロジー n-多様体の flag complex の 1-skeleton から得られる有限グラフは, 再構成可能グラフであることを示した。 連携協力者である山田は、旗多様体はケーラーでない擬ケーラー計量の指数としてどのようなものを持つかについて研究を行った。
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