研究概要 |
(1) 感染症の伝播を記述する数理モデルにおいて,感染症伝播関数を従来用いられていた関数形を特殊な場合として含む一般的な関数形に拡張して,数理モデルの定性的な性質を解明した.感染症が拡大する条件が伝播関数形によらず基本再生産数で決定されることを明らかにした.このことにより,個々の感染症の伝播形式ではなく,基本再生産数を求めることが感染症防御のために重要であることを明らかにした(Journal of Mathematical Biology). (2) HIV感染症における時間遅れの影響を検討した.HIVがCD4T細胞中で複製されるまでの時間やの免疫反応が惹起されるための時間遅れを考察した.その結果このような時間遅れを導入してもHIVダイナミクスは基本再生産数で定性的に決定されることを示した.このような性質は一般化された非線形関数を仮定しても成り立つことが示された.(Bulletin of Mathematical Biology, July, (2010) 72,5 : 1192-1207, SIAM Journal on Applied Mathematics. Volume 70, Issue 7, pp.2693-2708 (10 August 2010)).
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