研究課題
本研究の目的は,感染症の伝播やAIDS発症,自己免疫疾患を含む様々な医学現象を記述する一般的な基本数理モデルを構築する.さらに時間遅れ(感染症では潜伏期間,AIDS発症や自己免疫疾患では免疫が誘導されるまでに必要な時間)を導入し,時間遅れがモデルの大域的挙動に与える影響を考察する.特に時間遅れの導入によって平衡点の大域的漸近安定条件が変化しないモデルの非線形構造を明らかにする.基本モデルの解析に必要な数学的手法を確立するとともに,医学における時間遅れを有する様々な非線形現象の理解を深める.目的を達成するための研究計画は,できるだけシンプルな数理モデルを構築し,理論解析(Lyapunov-LaSalleの方法など)・数値計算を行い,平衡点の大域的安定性を保障する数理モデルの構造と時間遅れの関係を明らかにすることであった.4年間の研究によって,基本数理モデルに対する大域的安定性を判別するためのリアプノフ関数・汎関数の構成法を得ることができた.また基本数理モデルを一部拡張したモデルに適応できるリアプノフ関数・汎関数の構成法も確立できた.また数値計算の結果から,モデルの構造や時間遅れの導入により,解が不安定となり周期解やカオス解を発生させることが分かった.以上の成果を踏まえ,2014年度から新たに基盤研究(C)「免疫数理モデルの安定性と不安定現象の解明」として,特に数理免疫学に絞って,モデルの安定性と不安定現象の解明する研究計画を実施することとなった.
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)
Journal of Biological Dynamics
巻: Vol.8, No.1 ページ: 20-41
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