研究課題/領域番号 |
22540193
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池畠 良 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10249758)
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キーワード | 波動方程式 / 強い摩擦項 / 初期値問題 / 拡散現象 / 漸近形 / Fourier変換 / エネルギー / 減衰評価 |
研究概要 |
当該年度の研究目的は、強い摩擦項を持つ線形波動方程式の全空間における初期値問題を含むより"抽象的な"時間2階の発展方程式を抽象的なHilbert空間上で扱い、その全エネルギーの減衰評価の導出及び時間無限大での漸近形の特定などについて考察することであった。その目的は、米国テネシー大学の数学者G.Todorova氏及びB.Yordanov氏との共同研究として達成するに至り、すでにJ.Diff.Eqnsに投稿済みであり、現在、Rivised版を再投稿して結果を待っているところである。抽象的な結果を得ることの意義の一つとしては、これまであまり研究されて来なかった空間変数に依存する係数を持つVisco-elastic方程式の外部領域における混合問題の、全エネルギーの減衰率や解の漸近形を導出できたことが挙げられ、これは当該方程式については最初の結果となっている。その共同研究の際に、G.Todorova氏を、広島を中心に日本に招聘し、直接議論を重ね、私自身を含め関連する研究者との研究打ち合わせを予定していたのであるが(そのために実際に予算を30万円程計上していた)、残念なことにG.Todorova氏の急な病気療養のためそれが不可能になり、研究計画を大幅に修正するに至ったが、研究それ自身については、無事メール等を通して進展させることが出来た。更にその共同研究の途上で思いもかけずに「ある種のよく知られたエネルギー法」がある種の(非局所摩擦項を持つ)波動方程式のエネルギー減衰評価の導出に大変役立つことに気付き、それらの関連する結果を論文としてまとめ投稿するに至るという幸運にも恵まれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
交付申請書の「研究の目的」にも記載したように、「ある種のよく知られたエネルギー法」が、以外にも非局所項を摩擦項に含む波動方程式のエネルギー減衰率の導出に役立つ、という直感を実際に実行に移すことができ、論文にまとめて数学専門誌に投稿するに至っていることによる。
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今後の研究の推進方策 |
思いもかけずに当該研究目的が昨年度に達成され、さらに今年度は、ある種の非局所項をもつ消散型線形波動方程式の初期値問題のエネルギーについての基礎的な減衰評価が得られているので、今後はそれらを対応する半線形方程式の臨界指数問題へ応用し、藤田型指数を同定することを主目的にする。当該研究計画の大きな変更には至らないので、特に問題は見当たらない。
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