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2012 年度 実績報告書

定常点過程論の枠組みによるランダム作用素のスペクトル統計の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22540205
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

南 就将  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (10183964)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2014-03-31
キーワード確率論 / 数理物理 / 点過程 / ランダム作用素 / スペクトル統計
研究概要

1. 正の半直線上のシュレーディンガー作用素で、ホワイトノイズ(ブラウン運動の見本関数の形式的な微分)および正の一様電場(正の傾きを持つ一次関数)をポテンシャルとするものを考察し、その自己共役性を証明できた。このランダム作用素Aは Ramirez-Rider-Virag (2011) により "stochastic Airy operator" 呼ばれているが、RRVはこの作用素を2乗可積分関数がなすヒルベルト空間 H から超関数の空間への写像ととらえており、そのスペクトルの概念も不明瞭である。実際は A を H における対称作用素として実現する初等的な方法が知られている。平成24年度にはさらに進んで A の自己共役性を示すために、A に対応するある拡散過程の長時間挙動を調べようとして行き詰っていたが、25年度は発想を変えて、A に対応する2次形式の半有界性と閉性、および完全連続性を示すことにより、A の自己共役性とそのスペクトルの離散性を示すことができた。この方法は基本的にFukushima-Nakao (1977)によるものである。また、この結果から逆に stochastic Airy operator A に対応する拡散過程の長時間挙動についてわかることがあり、RRVの議論の不十分な点を補うことができる。
2. 人口集団の中に他と比べて高い接触頻度を持つヒトからなる部分集団(コア・グループ)があるとき、このコア・グループとそれ以外の間に交流がある場合には、交流がコア・グループ内に限られているときに比べて、感染症の最終的な流行規模が大きくなることを3つの異なる数理モデルにより示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定しながら着手できなかったテーマもあるが、年度当初から考えていたstochastic Airy operatorの自己共役性の証明に成功したので、研究に弾みがつき、順調に進展していると考えている。

今後の研究の推進方策

stichastic Airy operator の自己共役性が示されたことによって、ランダム行列からの収束に関するRamirez-Rider-Viragの重要な研究を正しい文脈に置きなおすことが可能になった。今後はこの方針に沿って、差分型のランダム作用素に対するスペクトル統計と連続型のランダム作用素に対するそれとを結びつける研究を進めたい。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 異なる接触頻度を持つ個体からなる人口集団における感染症流行のモデル化について2013

    • 著者名/発表者名
      南 就将
    • 雑誌名

      Hiyoshi Review of Natural Science, Keio University

      巻: 53 ページ: 23-44

  • [備考] http://user.keio.ac.jp/~minami/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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