研究課題
「平衡点渦系の平均場は点渦系の何を表現し得るのか」、これを明らかにすることを目標に、平衡点渦系の平均場の空間的構造、並びに、平均場を与える自由エネルギー汎関数の無限次元空間におけるグラフの構造の解析、特に、これらの構造を、有限次元系である点渦系のハミルトニアンと関連づけて解明することが、本研究の目的である。今年度は、昨年度得られたゲルファント問題のモース指数の評価に現れた線形化固有値の漸近挙動を精密化し、ここに点渦系のハミルトニアンとは異なるものに支配される現象があることを明確にすることができた。ゲルファント問題は平均場方程式の基礎となるものであり、その線形化固有値の細部に至る解析を進められたことは大きな意義があると思われる。またこの結果はそれに留まらず、類似の非線型楕円型方程式の解の爆発現象を考察する上で、新たな視点を与え得るものであると考えている。関連する話題として、二次元領域で考察されているゲルファント問題を、四次元の重調和作用素に関する問題として拡張したものを考察し、漸近的非退化性に準ずる結果を論文に纏めている。最後に、物理学者との研究交流を目指し、Lyonで行われた第14回European turbulence conferenceにおいてポスター発表し、物理学者との有益な議論ができた。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた平均場方程式、オイラー方程式の解析に踏み込む途上ではあるが、ゲルファント問題についての解析は予想以上に進み、微細な挙動を確定できた。新たな現象の発見、関連する問題への拡張も進み、手法の理解が十分に深まったため。
計画に従い、平均場方程式、オイラー方程式の解析を進めるが、基礎となるゲルファント問題の線形化固有値問題の微細な構造も把握され、関連する問題に新たな視点が得られている。これらの研究も平行して進め、問題の本質を見極める。
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Journal of Mathematical Analysis and Applications
巻: 398 ページ: 692–706
10.1016/j.jmaa.2012.09.028