本研究では時間分解能を向上させるために検出器の側面に取り付けるMulti Pixel Photon Counter (MPPC)のオペレーションが重要な役割となる。MPPCから得られる信号の時間分解能を劣化させないために、増幅器を通さない信号を用いて測定を開始した。 初めに、MPPCの有効領域の測定を行った。ここでは大型のプラスチックシンチレータの側面にMPPCを取り付け、10mm間隔で放射線源の位置を変えていき、MPPCの獲得光量を測定する。これは大型の高時間分解能サンドイッチ型γ線カロリメータを製作する際のMPPCの取付間隔を決めるための測定で、この間隔いかんによっては読み出しチャンネル数が大きく変動するため、基礎データとして重要な測定である。測定には有感領域の異なる3種類のMPPCを用いた。この測定と並行して、放射線源でなく電子ビームを用いた測定を検討した。千葉大学大学院理学研究科河合秀幸准教授も同様に複数のMPPCを用いた高時間分解能の荷電粒子検出器の開発を進めており、両研究室合同で、東北大学電子光理学研究施設の共同利用実験を申し込み、課題番号2730「多数のPPDを用いた正方形プラスチックシンチレータの時間分解能の測定」で2日間のビームタイムを行った。この実験では600MeV/cの陽電子をプラスチックシンチレータに照射し、複数のMPPC読み出す実験を行った。この測定においてビームによる信号は放射線源のときに比べて小さいため、十分な分解能が得られなかった。引き続き増幅器を用いた測定を今後検討していく必要があることがわかり、今後の検討課題とした。
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