本研究では時間分解能向上のために使用するMulti Pixel Photon Counter(MPPC)だけでなく、サンドイッチカロリメータのプラスチックシンチレータ部分の光を効率的に読みだすためにWave Length Shifting Fiber(WLS Fiber)の読み出しについての最適化も重要な要素になっている。 MPPCの読み出しの最適化については本年度も引き続き開発を続けた。増幅器の回路設計、実装について検討を行ってきたが、その結果を評価するためのビーム実験が、震災の影響で実験を予定していた東北大学電子光理学研究センター(ELPH)がまだ復旧しておらず、ビーム実験申請を受理していただけなかったため、現時点では放射線源ソースによる、簡易検証までしか行うことができなかった。 もう一つの重要な要素であるWLS Fiber読み出しの最適化についても同様の影響があったが、本研究で使用するWLS Fiber読み出しサンドイッチ型カロリメータのシンチレータ部はWLS Fiber読み出し荷電粒子検出器と同形状であることを利用して、既に震災前にELPHでの実験が受理されていた「波長変換ファイバーを用いた新電磁カロリメータ用電荷識別用ホドスコープの開発2」(実験責任者 田島)の代替実験で研究を行った。代替実験はSPring-8にて11月に行われ、使用するWLS Fiberに関するパラメータ、ファイバー径、ファイバー間隔、溝加工によるシンチレータ部の光量位置依存性の評価のため光量測定、時間分解能測定の実験を行った。現在データ解析中で、その途中経過を3月に行われた日本物理学会年次大会で「波長変換ファイバーを用いた荷電粒子検出器の開発」(発表者 東北大学 谷口)で光検出器の性能の違いによる位置分解能の差、ファイバー間隔による位置分解能の違いについて発表した。
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