本研究は大型のγ線を検出するサンドイッチカロリメータの時間分解能を向上させるための研究である。本研究では全体のエネルギーを測定するためのWave Length Shifting Fiber (WLS Fiber)による読み出しと、位置、時間測定を担うMulti Pixel Photon Counter (MPPC)による読み出しにより、高時間分解能を達成するものである。 WLS Fiber読み出しについては、東北大学電子光理学研究センターで受理されていた「波長変換ファイバーを用いた新電磁カロリメータ用電荷識別用ホドスコープの開発2」(実験責任者 田島)が、震災の影響でSPring-8での代替実験に変わり2011年度に行われ、2012年度はその解析を重点的におこなわれ、その結果は9月の日本物理学会秋季大会で「波長変換ファイバーを用いた荷電粒子検出器の開発」(発表者 東北大学 谷口雄亮)として発表し、WLS Fiberの収光率の距離依存性の詳細な分布を得ることができ、その分布を使ってWLS Fiberの光量分布から粒子の入射位置を再構成する手法を確立した。 MPPC読み出しについては、読み出し系回路の開発がほぼ終了した。この回路を使用して、今後新旧のMPPCでの読み出しの比較、シンチレータからのシンチレーション光の収集効率の向上の測定を進めていく予定である。光量測定のシミュレーションコードの開発も始めているが、測定によって得られるパラメータの測定が放射線源による測定では位置精度、統計精度が不足するため、今後ビームによる測定を検討している。
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