研究代表者(森田)は,平成24年度には,真空排気系の更なる整備・調整を行うとともに,前年度に不成功に終わったガラスクライオスタット中でのヘリウムガスによるレイリー散乱の観測実験に再度挑戦するためクライオスタットの光路周辺のガラス表面および窓板表面の清浄化を行った。しかし,クライオスタットまたは窓板による散乱光のため,やはりレイリー散乱信号を観測することができなかった。そこで,ガスを用いた予備的実験は取りやめにし,本来の目的である液体ヘリウムによるレイリー散乱およびCARSの観測実験を実施することにした。その理由は,1気圧のヘリウムガスよりも液体ヘリウムの方が原子密度が3桁程度大きいので,観測の可能性がより高いことが予想されたからである。しかし,その実験の準備中,平成24年11月に転落事故により左脚大腿骨を骨折し,手術および約2ヶ月半の入院治療を受けることとなったため実施不可能となり,研究および補助金を平成25年度に繰り越した。なお,研究分担者(熊倉)は,平成24年度には,データ収集系の整備と,レイリー散乱やCARSの観測に用いるレーザー光のFolded Boxcar型配置のための光学系の改良・整備を行った。
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