平成24年度は研究計画最終年度であり,結果および有用性を検証することを目的として実施した.実施結果から次の事柄が明らかとなった. 〔共同作業における「存在感(プレゼンス)」〕1)対象物(何を)知覚:視覚刺激と聴覚刺激による主観評価実験から,映像による立体感では有意差がなく音による立体感では有意差があることを明らかとした. 2)空間(どこで)知覚:室種を知覚する要因調査として室知覚と物理特性の対応を調査し,インパルス応答狭帯域包絡線情報が室種知覚に寄与していることを明らかとした. 〔計測技術〕1)空間計測:空間の伝送特性を示すインパルス応答の特徴量だけで実空間に等価な空間印象が得られるか及び所望の空間印象となるかについて調査し,計測手法が適切かを心理実験により評価した.2)対象物計測:対象物までの距離が時速以下(秒速以下)で移動する対象物の検出が可能であり,発音しない程度の微振動の検出および周期計測が可能となった. 〔再構築〕1)空間再現:空間印象に関して室印象の特徴量に対して処理を施すことによって所望の空間印象が再構築されることを主観評価実験結果で確認した.2)対象物再現:対象音を正中面かつ近接した2ch再生装置から左右方向までの位置に定位制御することが,反射物や外来雑音のある日常空間で可能であることを主観評価実験で確認した. 〔効果検証〕1)成果を利活用するためのプラグインツールを構築した. 2)研究成果導入し,ロボメカデザインコンペ等の協働活動において受賞という社会的評価を得た.
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