ヒトの脳神経細胞の伝達機能をモデル化したニューラルネットワーク(以下N-N)・アルゴリズムと画像処理手法を用いたアスベスト繊維の自動計数システムを構築するために実施した平成22年度の研究成果を以下に示す。 ○ 教師用試料の作製を行った。アスベスト繊維として(社)日本作業環境測定協会の石綿標準試料JAWE231を用いた。また、アスベスト除去工事現場および一般大気中に対してもサンプリングを行った。これらの試料はアスベストを同定するためのデータを得るには必要不可欠である。 ○ 自動画像サンプリングのための位相差顕微鏡(以下PCM)のステージ機構作製と制御ソフトを作成した。また繊維状物質の消光角測定のための自動回転アナライザー装置の作製及び制御ソフトも作成した。これらハード部に関する制御系は、画像サンプリングを行う際の高速化に向けた重要な技術となる。 ○ PCM画像から得た幾何形状7種、画像の輝度に関する3種の特徴の他に、偏光顕微鏡(以下PLM)画像から得た消光角をN-Nの入力情報とするため、これらの特徴量を計測するアルゴリズムを開発した。これらの特徴量はN-Nの学習過程及びアスベストの同定過程で必要なデータである。 ○ アスベスト及び非アスベスト繊維状物質の画像データベースの構築を行った。測定機関間のアスベスト繊維判定基準を統一することが測定精度管理向上のうえで最も重要な課題であり、そのための共有すべき画像データを公開することは社会的意義が大きい。
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