研究課題
基盤研究(C)
本研究では、真核生物ゲノムで保存されてきたマイクロサテライト配列が、正常個体集団間で多様性を生む分子機序、さらには病的細胞機能下、とくに腫瘍において変化する分子機序を総合的に解明し、真核生物ゲノム編成のひとつの特徴であるショートタンデムリピートの動態とその病因論的意義を明らかにすることを目的とした。まず、正常細胞機能下におけるマイクロサテライト配列変化として、種間、個体間のマイクロサテライト配列多様性について、また、病的細胞機能下におけるマイクロサテライト配列変化としては、とくに、ミスマッチ修復異常およびDNAポリメラーゼ校正機能の異常下におけるマイクロサテライト変化について、重点的に解析を行った。このような解析の結果、とくに注目されたのが、1塩基繰り返し(mononucleotide)マイクロサテライト配列の動態であった。Mononucleotideマイクロサテライトがヒト集団間で著しく多型に乏しいことが見出されたのである。このことは、極めて多型に富む2塩基繰り返し(dinucleotide)マイクロサテライトと好対照をなしている。この結果を受け、ミスマッチ修復能およびポリメラーゼ校正機能に既知の異常をもつ株化培養細胞を用いて解析を進めた結果、2つの細胞機能の働きのちがいによる、それぞれのマイクロサテライトの固有の動態が明らかになった。現在、ミスマッチ修復能およびポリメラーゼ校正機能を欠くマウス胎児線維芽細胞を樹立し、その解析をおこなっている。
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Biochimie
巻: 95 ページ: 320-328
DOI: 10.1016/j.biochi.2012.09.031
Eur J Hum Genet
巻: 19 ページ: 320-325
DOI: 10.1038/ejhg.2010.216
http://www.ia-nkcc.jp/rinsho/