研究概要 |
約2400個体の標本に基づきツルクモヒトデ目(棘皮動物門,クモヒトデ綱)の形態ならびに分子による系統分類学的研究を行った.西太平洋産の種の中に,1新属6新種, 1属の同属異名,11種の同種異名を認めこれらの記載を行った.これらによって,本海域におけるツルクモヒトデ目は33属112種であることが判明した.核の18S rRNA,ミトコンドリアの16S rRNA, COI遺伝子を組み合わせ2917bpの塩基配列に基づいて83種の分子系統解析を行ったところ,ツルクモヒトデ目4科のうち,タコクモヒトデ科は側系統となることが明らかとなった.分子系統解析によって認められたクレードは明瞭な形態によって識別できることが明かとなり,分子と形態の双方に基づき,2上科,5科,3亜科からなる科レベルでの新しい分類体系を提案した.特に,走査型電子顕微鏡によって観察される骨片の形態は有効で安定した分類形質として認められた.のツルクモヒトデ類の腕の分岐は,複数回独立に生じてきたことが明かとなった.
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