研究概要 |
ソマトスタチン配列(X-Tyr-D-Trp-Y)の、Y基の置換、Tyr残基の置換を行い、抗腫瘍活性と疎水性に相関があることを明らかにした。 1) Yへの疎水性官能基の導入:C末(=Y)に疎水性かつ堅固な構造の官能基を導入すると、DNAポリメラーゼ(pol)阻害活性および腫瘍細胞増殖抑制活性が向上した。特に、DNApol阻害活性においてはナフチル基含有化合物、および腫瘍細胞増殖抑制活性においては、アダマンチル基含有化合物が最も強力であった。 2) 細胞膜透過性の検討:腫瘍細胞増殖抑制活性を示した主な化合物をNBDで蛍光標識し、その細胞内分布を検討した。その結果、アダマンチル基含有化合物のみが、細胞内に取り込まれることを明らかにした。 3) Tyr残基の置換:脂溶性官能基の効果を検討するために、Tyr残基をPhe, 2',6'-dimethyl-L-tyrosine(Dmt),1-naphthylalanine(1-Nal), 2-naphthylalanine(2-Nal)に置換した誘導体を合成した(X=H, Y=1-adamantylamide or 2-adamantylamide)。グラジエントHPLCによる保持時間とイソクラティックHPLCによる脂溶性の指標ψ_0により化合物の脂溶性を評価した。ψ_0は移動相中の有機溶媒のパーセンテージとイソクラティック保持ファクターの相関から得られる値で、医薬品の脂溶性の評価に有効に用いられている。Tyr残基をPhe, 1-Nal, 2-Nalに置換した化合物はYO-14、13よりはるかに高いψ_0値を示し、脂溶性が高い化合物が得られた。
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