本研究は、脳や心臓に多く存在し細胞の静止膜電位の維持や興奮性の調節に重要な内向き整流性カリウム(Kir)チャネルの主要なサブファミリーであるKir2及びG蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK; Kir3)チャネルに作用する薬物をアフリカツメガエル卵母細胞蛋白質発現系を用いた電気生理学的研究によって数多く見い出し、その作用を機能面から詳細に解析することを目的とする。 平成24年度内には臨床治療薬として用いられている様々な化学構造の薬物をこの実験系を用いて解析し、Kirチャネルに作用するいくつかの臨床薬をさらに見い出すことができ、詳細な解析を進めた。実験結果を順次まとめ、英文論文を発表する準備を進めている。 Kir2及びGIRKチャネルは細胞の興奮性の調節に重要な分子であり、有望な治療標的としても考えられてきているので、これらに作用する薬物の発見や機能を明らかにすることは基礎と臨床の両面から意義がある。研究成果により、臨床における薬物の効果や副作用の理解をより深めるとともに、Kirチャネルを標的とする創薬研究の基盤や臨床適用拡大への提言になることが考えられるために重要な研究であると考えられる。
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