細胞興奮性の調節に重要な内向き整流性カリウム(Kir)チャネルの主要なサブファミリーであるKir2およびG蛋白質活性型内向き整流性カリウム(GIRK; Kir3)チャネルに対する様々な薬物の作用をアフリカツメガエル卵母細胞蛋白質発現系を用いた電気生理学的研究によって網羅的に検索した。注意欠陥多動障害やうつ病の治療薬として用いられている選択的ノルエピネフリン再取込み阻害剤のアトモキセチン・レボキサチン、薬物依存が問題となるフェンサイクリジンがGIRKチャネルを抑制することを見出した。また、うつ病のほかに不安障害、強迫性障害、疼痛障害などに用いられている様々なクラスの抗うつ薬がGIRKチャネルを異なる効力で抑制することも見出した。これらの研究成果により、臨床における薬物の効果や副作用の理解がより深められたとともに、Kirチャネルを標的とする創薬研究の分子的基盤や臨床適用拡大への提言につながることが考えられた。
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