研究課題
基盤研究(C)
我が国では新たな石綿の利用が全面禁止されたが、今後は中皮腫患者数の増加が懸念される。しかし、明確な早期中皮腫の診断法や標準治療法は確立されておらず、中皮腫診断法および治療法の開発が急務である。本研究では、5-aminolevulinicacid(ALA)の腫瘍集積性を応用し、ポルフィリン(Por)代謝物を用いたスクリーニング法と光線診断法(photodynamicdiagnosticsystem;PDD)の技術を向上させ、光線力学治療法(photodynamictherapy;PDT)の検討する目的でALA投与量と中皮腫集積の至適時間、取り込み、Por代謝物の蛍光強度、中皮腫発症とALA投与後の尿中および血液中Porクリアランス、ALAおよびTalapolfinsodium併用投与についてF344ラットによる動物実験を実施した。その結果、ALA投与量では100mg/kgを1度、2時間後に200mg/kgを1度の2回、初回投与から6時間後にALA取り込み量が至適投与量・時間であると推定できた。また、中皮腫からALA代謝物と推定されるコプロPorIおよびIII、プロトPorIXが高濃度で検出された。一方、尿中Porは中皮腫発症によって明らかな違いを見出した。これらの解析を行った結果、中皮腫発症と関連性が高いメソテリン濃度とPorとの間に関連性を見出した。また、Talapolfin併用投与では、中皮腫への取り込みが十分に確認出来ず、PDT治療には問題のあることが明らかになった。この原因として、ALAとTalapolfinの中皮腫への取り込み時間の違い、ALAによる活性酸素の誘導が限定的であったことが推察され、これは腫瘍細胞である中皮腫での至適濃度に時間的な差が生じるためであろうと推察できた。
すべて 2012 2011 2010
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件)
臨床環境医学
巻: Vol.20、No.2 ページ: 131-140
Toxicology and pharmacology
巻: Vol.252, No.2 ページ: 123-129
DevelopmentGrowth and Differentiation
巻: Vol.52, No.7 ページ: 657-663
