研究課題/領域番号 |
22590595
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
岡本 和士 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (60148319)
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研究分担者 |
江上 いすず 名古屋文理大学, 健康生活学部, 教授 (00367848)
藤原 奈佳子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (30178032)
紀平 為子 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30225015)
石井 英子 椙山女学園大学, 看護学部, 教授 (50367695)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / 神経難病 / 栄養調査 / 疫学研究 / 症例対照研究 / 栄養療法 / IT機器 |
研究概要 |
本研究の目的は、疫学的手法を用いてALSの予後進展防止のための最適な栄養管理・栄養指導の確立に資するエビデンスを提供しALSの発症予防・予後進展予防に寄与しうる栄養および食品成分の解明を目的に立ち上げた症例対照研究、食事実態調査および神経難病患者を対象とした栄養調査システムの開発の3つの研究チームを軸に研究の推進を行った。まず、症例対照研究チームでは、当初の目的は1年目でほぼ終了したが、さらなる信頼度の高いエビデンスを得るために、昨年度、本年度も症例のリクルートを行い、52例の症例の収集を行った。本研究の目的である最適な栄養管理・栄養指導の確立に関して、1年目に収集された100名の患者のその対照者の比較から得たデータをもとに患者の栄養サポートを目的とした「元気本気やる気」パンを開発し、平成24年2月17日に商標登録の承認(登録第5471963号)を受けた。このパンを直接ALS患者に摂取してもらうことで、このパンの味、食感などの食べやすさに関して、平成23年度から引き続きリクルートを行い本年度では25名の患者に対して1か月間調査を行った。その結果、1か月と短期間であったが、10名の患者から「継続して食すことができる」「ALSの治療方法がない現在、このパンは何か救いになる」との評価を得た。神経難病患者を対象とした栄養調査システムの開発チームでは、IT機器を用いた簡易の栄養調査システムを開発することにより患者様及び介護者に負担なくリアルタイムに栄養調査を行うことが可能となる。本年度はこの食事実態調査への活用を目標として、食品の入力しやすさの改善、これまで限定された食品に近い食品を選ぶ形式であったものに対し、様々な食品に対する栄養研鑽ができる様システムへの改善を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の予定では症例対照研究は1年目に、栄養療法のガイドライン作成は3年目を、IT機器を用いた簡易の栄養調査システムの開発に関しては4年目に終了としていた。症例対照研究は当初の予定通り1年目で終了したが、栄養療法のガイドライン作成のみならず、それに基いた栄養食品の開発も2年目に終了し、現在では今回の計画になかった栄養食品の官能に関する調査まで実施されている。IT機器を用いた簡易の栄養調査システムの開発に関しては、研究年度では開発の方向について検討する予定であったが、3年目ですでにシステムの開発もほぼ終了して、4年は研究計画の予定になかったシステムの妥当性の検討および実践性に関する検討を行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
栄養療法のガイドライン作成から開発された栄養食品を患者に実際に食してもらい、その症状の進展予防の有無に関する調査研究を行う。さらに、この栄養食品の一般化を目的に食品製造会社との共同研究を予定している。 IT機器を用いた簡易の栄養調査システムを開発に関しては、本年度に実用性に関する調査研究を行う。この機器に関しては、今回はALS患者の栄養摂取状況を把握することを目的に開発を行ったが、今後高齢者や糖尿病患者の栄養調査の簡便化に加えリアルタイムでの栄養摂取状況の把握への応用も予定している。
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