研究課題/領域番号 |
22591015
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
秦野 修 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (40164850)
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研究分担者 |
竹森 洋 医薬基盤研究所, 創薬基盤研究部, プロジェクトリーダー (90273672)
西 真弓 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (40295639)
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キーワード | 副腎皮質 / ステロイドホルモン / ステロイドホルモン合成酵素 / 性差 / プロゲステロン / X-zone |
研究概要 |
哺乳動物における主要なステロイドホルモン産生器官である副腎皮質と性腺の両原基は共通原基から分化する。性腺原基は雄で精巣、雌で卵巣ヘ分化し、著しい性差を生じるが、もう一方の副腎皮質における性差の研究報告は、ごく限られている。女性ホルモンであるプロゲステロンは、主に卵巣で産生されるが、副腎皮質ホルモンである糖質、硬質コルチコイド合成における反応中間物でもある。これまで、副腎皮質におけるプロゲステロンは、副腎皮質ホルモン合成における単なる反応中間物であり、最終産生ホルモンとは考えられていなかった。本研究では、雌マウス副腎皮質におけるプロゲステロン合成に必要な酵素群、及びプロゲステロンから糖質コルチコイド産生にいたる酵素群の局所発現の解析を行い、雌マウス副腎においてプロゲステロンを産生している状況証拠を得た。副腎皮質の網状層と副腎髄質の間には、糖質コルチコイド合成酵素(=CYP11B1)が発現していない層が存在することを見出し、この層は、未交尾・雌マウスに特異的に存在する層(=X-zone)に相当していた。この層には、コレステロールを基質としてプロゲステロン合成をおこなう酵素であるCYP11Aや3βHSDは発現していたが、プロゲステロンから糖質コルチコイド産生にいたる酵素であるCYP21やCYP11B1は発現していなかった。一方、雄マウスにおいては、網状層と副腎髄質の間にこのような層は見出されず、網状層のCYP21発現細胞は、髄質細胞に接する領域まで発現していた。これらの結果は、副腎皮質において、雄、雌間でステロイドホルモン産生能に性差が存在することを意味するものであった。
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