研究概要 |
ヒトNAIPによる,レジオネラの細胞内増殖の抑制.:RAW264でヒトNAIPを発現させた場合,レジオネラの細胞内増殖が顕著に抑制されるが,このときもカスパーゼ-1の活性化と細胞死を伴っていた.これらのことから,ヒトNAIPもマウスNaip5と同様にレジオネラ感染細胞のpyroptosisの誘導に関与し,レジオネラの細胞内増殖を抑制する機能を有していることが示唆された. ヒトNAIPの,個体レベルでのレジオネラの感染防御への寄与.:非致死量のレジオネラを経鼻感染させたところ,ヒトNAIPを発現するA/Jマウスでは,,野生型A/Jマウスに比べて,感染2日後に肺内に残存する菌が少ない傾向がみられた.また,致死量のレジオネラを経鼻感染させたとき,ヒトNAIPを発現するA/Jマウスでは,生存日数の延長傾向と生存率の上昇傾向が観察された.以上の結果から,ヒトNAIPはレジオネラ感染細胞のpyroptosisの誘導に関与することを通じて,ヒトのレジオネラの感染防御に寄与していることが示唆された. (考察)マウス個体に対してレジオネラを肺感染させたとき,ヒトNAIPを発現するA/Jマウスでは,肺内の菌数の減少と予後の向上が観察されたが,ヒトNAIPの発現の有無でレジオネラ感染による肺傷害に変化が起きているのか,については,今後検討しなければならない.気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞浸潤,および,肺中の炎症性サイトカインやケモカインのレベルを調べることにより,肺傷害の程度を比較する必要があろう.
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