研究課題
基盤研究(C)
Klotho遺伝子のノックアウトマウス(KlothoKOマウス)では、ヒトの老化に類似した種々の症状を来すことから、老化現象に関わる重要な遺伝子として報告された。我々は、KlothoKOマウスにおける老化現象と正常加齢マウス(CD-1)を比較検討し、老化機構におけるKlotho遺伝子とミトコンドリア機能障害のネットワークを解明するために腎および脳組織における病理学的、生化学的解析を行った。正常加齢マウスでは、腎腫大が診られ、糸球体の減少と総タンパクの低下、ミトコンドリアの酸素消費の低下と電子伝達系酵素活性の全般的な低下が観察された。一方、KlothoKOマウスでは、正常糸球体数の減少と総タンパクの増加を伴う電子伝達系酵素活性の比活性の低下を来した。また、電子伝達系の酵素活性の中で、複合体IIが選択的に早期に低下する事を見いだした。終脳では、正常加齢のマウスでは電顕的なミトコンドリア腫大がみられミトコンドリア電子伝達系低下を伴っていた。KlothoKOマウスでは、その加齢減少に伴い、正常加齢マウスでは診られない、腎と脳でミトコンドリア機能不全を来し、その原因は、異常たんぱくの蓄積によると考えられた。
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