研究課題/領域番号 |
22591230
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
斎藤 三郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (10186934)
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研究分担者 |
秋山 暢丈 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (00338865)
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キーワード | IL-31 / IL-31レセプター / 抗体 / ノックインマウス |
研究概要 |
これまでの研究により、IL-31RA蛋白のアミノ酸配列と高次構造から予測したmGPL65-88のペプチドとKLHコンジュゲートに対して得られたウサギポリクローナル抗体が、免疫組織化学的解析により、皮膚ケラチノサイトや毛根細胞に発現したIL-31レセプターを強く認識することを明らかにした。ウサギに免疫して作成した抗マウスIL-31RAウサギポリクローナル抗体は、ウサギ血清を用いているために様々な抗体をも含んでいるために、in vivoで使用するためには困難である。そこで本年度は、免疫に使用したmGPL65-88のペプチドを用いたアフィニティーカラムを作成してマウスIL-31RA特異的抗体を精製を試みた。その結果、mGPL65-88のペプチド特異的抗体がウサギ一羽から約3mg精製することができた。そこで、この精製抗体がIL-31レセプターを認識できるのかマウスの皮膚切片を用いて免疫組織学的に解析した結果、表皮ケラチノサイトや毛根細胞に発現したIL-31レセプターを認識できることが判明した。現在、自然発症アトピー性皮膚炎Nc/Ngaマウスにこれらの抗体を投与することでアトピー様皮膚炎の発症およびIgE抗体産生の増強が抑制されか検討している。なお、対照としては正常ウサギ血清から精製したIgG抗体を投与した。 一方、IL-31の機能を検証するためにIL-31およびIL-31RAのノックインマウスの作成を試みた。現在、ノックインマウスのバックグラウンド遺伝子を均一にするために,C57BL/6マウスで戻し交配をしてF4まで作成できている。IL-31RAヘテロノックインマウスのβ-Gal染色による解析では、表皮ケラチノサイトより毛根細胞にIL-31レセプターの発現が強く認められることが判明した。このことは、IL-31の標的細胞として表皮より毛根細胞が重要なのかもしれない。今後、F6まで戻し交配をした後にホモノックインマウスを作成してIL-31の機能を検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
IL-31レセプター(IL-31RA)に対するポリクローナル抗体の作成のためのペプチドの設計は良くできたと考えている.なぜなら、免疫したウサギの抗血清からペプチド結合アフィニティーカラムで精製した抗体が、表皮ケラチノサイトや毛根細胞を染色できるからである,現在、Nc/Ngaマウスに投与して検討中である。さらに、これまでIL-31およびIL-31RAノソクインマウスの作成に約1年半を費やしているが、戻し交配が順調に進んでおりF4まで作成できている。また、ヘテロノックインマウスのβ-Gal染色による解析では、表皮ケラチノサイトより毛根細胞にIL-31レセプターの発現が強く認められることが判明しており、IL-31RAの発現動態がこのマウスで検討できる。
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今後の研究の推進方策 |
IL-31の機能がレセプター抗体で抑制できるかをポリクローナル抗体で検討しているが、ポリクローナル抗体の使用できる量は限りがあるために、IL-31RAに対するモノクローナル抗体の作成をアルメニアンハムスターを用いて再度試みる。IL-31およびIL-31RAのノックインマウスは、F6までC57BL/6マウスと戻し交配してからホモノックインマウスを作成して、wildマウスと比較することによってIL-31の多面的機能を検証する。
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