本研究の特色は、IL-31レセプターの発現動態の観点からIL-31の多面的機能を捉えることにある。最初に抗IL-31レセプター抗体を作成してIL-31の発現動態の解析を行った。これまでの研究により、IL-31RA蛋白のアミノ酸配列と高次構造から予測したmGPL65-88のペプチドとKLHコンジュゲートに対して得られたウサギポリクロ-ナル抗体からmGPL65-88のペプチドを用いたアフィニティーカラムで精製したマウスIL-31RA特異的抗体は、毛根細胞および活性化マクロファージに発現したIL-31レセプターを認識することが判明した。 そこで、自然発症アトピー性皮膚炎Nc/Ngaマウスにこれらの抗体を投与してアトピー様皮膚炎の発症およびIgE抗体産生の増強が抑制されか検討したが抑制効果は認められなかった。Nc/Ngaマウスのアトピーアトピー様皮膚炎の発症にはIL-31に加えて他の因子が関与している可能性が示唆された。 一方、IL-31の機能を検証するためにIL-31およびIL-31RAノックインマウス(KO)の作成を試みた。現在、ノックインマウスのバックグラウンド遺伝子を均一にするために,戻し交配をしてF7まで作成した。さらに、機能解析のためにF6とF6の交配によりホモKOマウスを作成した。現在、ホモとヘテロの交配によりリッターメイドを作成している。野生型マウスとKOマウスの抗β-Gal抗体および抗IL-31抗体染色により毛根細胞および活性化マクロファージにIL-31RAの発現が強く認められることが判明した。また、IL-31RA KOマウスではIL-31の皮下投与により脱毛が認められないことも確認できた。 さらに、IL-31によって誘導される血清IgE抗体価の上昇は、IL-31RA発現活性化マクロファージが標的となりTh2分化誘導因子が分泌されるためと考えられた。
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