研究課題/領域番号 |
22591360
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研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
原内 一 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (20243256)
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研究分担者 |
今城 吉成 川崎医療短期大学, 学長 (00090225)
天野 貴司 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (90249558)
柳元 真一 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (40508967)
松田 英治 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (30508966)
成廣 直正 川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (20508965)
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キーワード | 乳房撮影 / 散乱線 / 画像処理 / OCR / 空間フィルタ |
研究概要 |
散乱線を用いて乳房撮影を行うと、従来不可能だった乳房正面像撮影が可能となり診断精度が向上し、圧迫を必要としない撮影法であるため痩せ型の女性にも苦痛を与えずに撮影が可能となり、さらに体に触れないで乳房撮影を可能とするため女性にやさしい検査となる。しかし、散乱線画像は画質が悪く、現状では臨床応用は不可能である。そこで、画像の鮮鋭化技術の開発とX線出力効率向上に取り組んだ。まず、鮮鋭化技術として、(1)あいまいな情報をデータマッチングによって既知の情報に置換することで、散乱線画像を直接線画像に近似する、人工知能を利用したOCR Optical Character Reader:光学式特性読取装置)の開発、(2)情報伝達理論を応用し、被写体の情報を増幅する空間フィルタの開発、(3)核医学技術を利用したピンホールコリメータの設計をおこなった。そして、OCRは画像の2次元情報に関しては認識率98%以上に達したが、写真濃度成分を加えた3次元情報に関しては認識率40%にとどまっている。情報増幅空間フィルタは、被写体情報を20%増幅させるだけにとどまった。ピンホールカメラはモンテカルロシミュレーションにより、鮮鋭化の限界があることが明確になった。次に、X線出力効率向上のためにリニアックや重粒子加速装置を用いて高エネルギーX線の側方散乱線発生効率・分布・線質を調査した。出力効率は飛躍的に向上するが、被写体の被曝量も飛躍的に増加し、診断領域での応用は不適切であると判断した。当初計画していたX線管焦点サイズを大きくすることは、検査のために特別な機材を作成することになり、「低価格乳房正面撮影装置開発」という本研究の目的と異なるため、取りやめた。これらの研究成果により、人工知能OCRの認識率を向上させることと、情報増幅空間フィルタの増幅率を向上させる方向性に絞ることにした。
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