• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

側方散乱を用い被写体体型に依存せずに高診断能の低価格乳房正面撮影装置開発

研究課題

研究課題/領域番号 22591360
研究機関川崎医療短期大学

研究代表者

原内 一  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (20243256)

研究分担者 荒尾 信一  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (40212609)
天野 貴司  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 准教授 (90249558)
柳元 真一  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (40508967)
松田 英治  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (30508966)
成廣 直正  川崎医療短期大学, 放射線技術科, 講師 (20508965)
キーワード乳房撮影 / 散乱線 / 正面像
研究概要

側方散乱X線を使うことによって、障害陰影なしで乳房正面像を撮影可能とすれば、撮影時における女性の肉体的苦痛、精神的苦痛を除去でき、痩せた体型の女性に対しても乳房撮影が容易となる。そのため、散乱線画像特有の解像度の低さを改善し、散乱線画像を作成するのに必要なX線の出力を向上させ、画像の雑音を低下させることが必要であった。
そこで、まず、X線出力を向上させるために、散乱線の方向性を統一するために用いていたピンホールカメラ法から、垂直、水平の方向性の定まらない散乱線を除去するクロスグリッド法に改造したことで、患者の被曝量を10分の1にすることができた。
また、情報量を最大に抽出するための空間処理フィルタを開発することで、雑音を低減し、信号を増強した。その結果S/N比を1.5倍にすることが出来た。
そして、22年度に開発した3次元OCR(2次元平面に分布する画素値(濃度情報)分布を正規化し、データマッチングにより本来の画素値分布を推測するソフトウェア)で利用するデータマッチング用の基礎データを収集し、乳房の散乱線画像から本来の乳腺構造を描出することを試みた。しかし、乳房画像において階調数が1B(256段階)では、量子化誤差が大きすぎる。そこで、階調数を2B(65536段階)としたが、大量な基礎データが必要となった。そのため、3×3のマトリックスを最小単位とする場合にしぼり、2の9乗(512)×65536パターンの基礎データを用いて、画素値分布を推定した。しかし、散乱線の揺らぎのため、3×3のマトリックスでは画像を鮮鋭化することが出来なかった。これにより、散乱線の揺らぎを改善するには、最低でも11×11のマトリックスが必要とあることが判った。
しかし、基礎データは2の121乗×65536パターンとなるうえ、マッチング法では偽像を作る可能性が高くなり、3次元OCRによるデータマッチング法の限界が判った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

散乱線画像を鮮鋭化するための3次元OCRによるデータマッチング法では、マトリックスサイズを11×11以上にする必要があることが判明した。しかし、これは、本手法でマトリックスサイズを11×11以上にすると、散乱線情報から乳腺構造を推測する手法であるため、偽像を生み出す可能性が高くなり、臨床応用には適さないということを意味する。その結果、今後の方向性を変更する必要が生じたためである。

今後の研究の推進方策

乳房画像の中には、複雑で高周波領域の乳腺構造がある。そのため、乳房画像は乳腺構造を描出するために鮮鋭化する必要であると言われているが、乳房画像の撮影目的は乳がんの早期発見であり、必ずしも乳腺構造の描出ではない。そこで、本年度、我々は発想を逆転させ、画像の鮮鋭化が必要である乳腺構造の描出には着目せず、乳がんの診断能のみに特化した散乱角度サブトラクションを開発する。通常サブトラクションといえば、2枚の画像間で減算し、2枚の画像の中で同じ位置に描出されている像を消去し、2枚の画像の間で差を生じている像だけを抽出することである。通常の直接線撮影において、乳房画像サブトラクションを行おうとすると、2枚の画像のそれぞれの複雑で高周波領域の乳腺構造の位置を一致させることは困難である。しかし、散乱線撮影では、複雑で高周波領域の乳腺構造も単純な低周波領域の像となり、サブトラクションが可能となる。我々が開発する散乱角度サブトラクションは、直接線が入射する方向に対する散乱角度の差を利用し、乳がん像である石灰像を描出しようとするものである。本手法の問題点としては、散乱線が散乱体により自己吸収されることが予想されるため、サイズの大きい乳房に適さないことである。

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi