研究課題/領域番号 |
22591418
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
森田 美和 藤田保健衛生大学, 疾患モデル教育研究センター, 助教 (90329699)
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研究分担者 |
梨井 康 国立成育医療研究センター研究所, RI管理室, 室長 (60321890)
杉岡 篤 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (20171150)
長尾 静子 藤田保健衛生大学, 疾患モデル教育研究センター, 准教授 (20183527)
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キーワード | マウス同所性肝移植モデル / 免疫寛容 / co-stimulatory signal / PD-1/PD-L1シグナル |
研究概要 |
現在の移植医療において免疫抑制剤の使用は欠かせないが、その副作用による感染や発癌などは移植患者のQOLを著しく低下させるため、免疫抑制剤を用いずに移植臓器を生着させることは移植医療の究極の目標である。これまでわれわれはあらゆる系の組み合わせにおいて免疫抑制剤なしで移植臓器が生着し、免疫寛容を獲得できるマウス肝移植モデルを用いて、免疫寛容誘導のメカニズムの解明を試みている。平成22年度には、ドナーをB10.BR(H-2Kk)、レシピエントをB10.D2とした異系組み合わせにおけるマウス肝移植モデルに、抗PD-L1抗体もしく抗PD-1抗体の腹腔内投与を投与することで生着期間が大幅に短縮し、またはPD-1ノックアウトマウスを用いた肝移植モデルにおいても同様の結果を示したことから、免疫反応におけるco-stimulatory signalであるPD-1/PD-L1シグナルが免疫寛容誘導に重要な役割を担っていること示した。また、抗PD-L1抗体を用いた移植肝の免疫組織染色の結果、PD-L1の染色部位がリンパ球浸潤領域および類洞に局在したことから、PD-L1発現細胞を同定するために、抗F4/80抗体、抗Desmin抗体、抗H-2Kd抗体、およびCD105抗体と抗PD-L1抗体との二重染色を行なったところ、抗F/80抗体、抗H-2Kd抗体、およびCD105抗体との共染色が観察されたことから、PD-L1はマクロファージ、レシピエント由来、細胞類洞内皮細胞に発現していることが示された。一方、肝臓特異的に存在する細胞である星細胞のマーカーとしての抗Desmin抗体ではPD-L1抗体との共染色はみられなかったことから、PD-L1が関与する免疫寛容誘導において、星細胞の関与の可能性は低いことが示された。今後は免疫寛容誘導におけるサイトカインの変動、アポトーシス細胞の同定を試みる予定である。
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