大腸癌抗がん剤治療、特にオキザリプラチンによるジヌソイド閉塞症候群のモデルとして、ヒト培養ジヌソイド内皮細胞にオキザリプラチンを反応させ、ジヌソイド内皮細胞の抗がん剤投与前後のプロテオミクス解析を施行した。2次元電気泳動後のプロテオミクスLC/MS/MS解析では、Peroxiredoxin6、Aldehydedehydrogenase2、α-methylacetyl-CoAracemase、Proteindisulfide-isomeraseA3、60-S-acidribosomalproteinP0、GlutathioneS-transferaseM1など、合計23個の蛋白に有意な変化を認めた。これら23個の変動タンパクのうち、ジヌソイド内皮細胞内のGlutathioneS-transferaseM1が、oxaliplatin投与により顕著に減少していることが、Mascot解析にて証明された。ジヌソイド内皮保護作用を有すると考えられるsphingosine1phosphate(S1P)を投与したジヌソイド内皮細胞とS1Pを投与しなかったジヌソイイド細胞と比較したところ、S1Pの投与によりGlutathioneS-transferaseM1の減少が有意に抑制されることが示された。ラットを用いて、オキザリプラチン肝障害モデルを作成した。オキザリプラチン投与後48時間後に採取した肝組織において、正常肝組織に比較して、有意にGlutathioneS-transferaseM1が低下していた。oxaliplatin投与によるジヌソイド内皮細胞障害が、GlutathioneS-transferaseM1と関連している可能性が示唆された。
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