研究課題/領域番号 |
22591605
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 文代 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30261811)
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研究分担者 |
山本 哲哉 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30375505)
中井 啓 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50436284)
中村 浩之 学習院大学, 理学部, 教授 (30274434)
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キーワード | 中性子捕捉療法 / グルタチオン / BSO / BSH |
研究概要 |
中性子捕捉療法に用いられるBSHは、申請者らの報告により細胞内グルタチオン合成阻害剤であるBSOを併用することにより取り込みが増強されることが明らかになっている(Yoshida et al, Cancer Lett. 215 (2004) 61-67, Yoshida et al, Cancer Lett. 263 (2008) 253-258)。前年度の結果から、BSOを同時投与するより前投与する方が効果的であることが明らかになっていた。当該年度では、(1)BSO非投与群(コントロール)、(2)BSO投与後1時間でBSH投与群、(3)BSO投与後3時間でBSH投与、(4)BSO投与後6時間でBSH投与、の各群につき、BSH投与後6時間でsacrificeしてホウ素濃度を測定したところ、(4)のBSO投与後6時間でBSHを投与した群でさらにホウ素量が高く維持されることが明らかになった。そのため、BSO投与からBSH4投与までの時間、BSH投与からsacrificeまでの時間を様々に振って検討を行った。その結果、BSOを6時間前に投与した場合、BSH投与後18-24時間はホウ素は高濃度を維持することが明らかになった。 腫瘍内ホウ素濃度を上げることができれば、照射時間の短縮、薬剤投与量の縮小など、臨床的に極めて役立つことが考えられる。今後は、前年行う予定だったジエチルマレイン酸やN-acetylcysteinなどの薬剤を用いて、さらに検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災の影響で実験開始がやや遅れたため予定していた他の薬剤を使用しての実験はできなかったが、ラット脳腫瘍作成の手技も確立し、時間経過によるホウ素濃度の違いなど新たな発見があり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の結果から、BSH投与前6時間でBSOを前投与しておくことにより、生体内ホウ素濃度は非投与群に比べ約20倍の高濃度を維持し、その効果は18-24時間持続することが明らかになった。本年度は、生体内グルタチオン濃度とホウ素濃度の関係を明らかにするため、BSO同様グルタチオン枯渇の働きのあるジエチルマレイン酸や、枯渇を補う働きのあるN-acetylcysteinなどの薬剤を投与し、その効果をBSOと比較検討する。
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