研究課題
基盤研究(C)
卵巣癌細胞の抗癌剤耐性機構を解明するために本研究を行い、以下の結果を得た。(1)細胞死(アポトーシス)抑制作用を有するclusterin(CLU)の発現がパクリタキセル(PTX)耐性卵巣癌細胞で発現が亢進していること、CLUの発現をsi-RNAあるいはアンチセンスオリゴヌクレオチドの導入によって抑制することで、PTXに対する耐性が解除しうること、卵巣癌患者組織における検討でCLUの発現と化学療法に対する感受性の間に負の相関があり、CLUの発現が早期卵巣癌患者における予後因子となり得ることが示された。(2)PTXの耐性に関与しうるmicroRNAについて検討した結果、PTX耐性卵巣癌細胞においてmiR-31の発現が低下していること、miR-31の導入によってPTXに対する耐性が解除されうること、miR-31の標的分子がレセプター型チロシンキナーゼの一つであるMETであり、METの高発現によって卵巣癌細胞のPTX耐性が誘導されること、METの特異的な阻害剤を併用することで、卵巣癌細胞のPTXに対する感受性が回復しうること、が示された。
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