研究の全体構想は、働くという営みに関して求められる看護職者の能力について、ケア対象者の「働くことに関わる」看護ケアニーズを捉えた援助を行う能力と自らが看護専門職として働くことをマネジメントする能力という2つの側面が相互に影響し向上していくという考えに基づき育成する方法を、看護基礎教育から大学院教育、継続教育まで視野に入れて追究することである。平成22年度においては、働くことに関わる看護ケアニーズを捉えた援助と看護専門職として働くことのマネジメントの現状、及びこれら相互の影響の明確化を通じて、看護基礎教育において働くことの具体的なイメージ化を促進する教育方法を開発(教材開発を含む)するという研究目的に向けて、以下の2つの研究を実施した。 研究1では、看護職者を対象に半構成質問紙を用いた面接調査を実施した。調査対象は、「働くことに関わる」看護ケアニーズを捉えた援助について組織的取組みを行ったA施設、看護専門職として働くことのマネジメントに関する取り組みを行ったB施設の各々で取り組みに参加した看護職者のうち研究協力への同意が得られた2施設10名であった。調査結果から「働くことに関わる」看護ケアニーズを捉えた援助と看護専門職として働くことのマネジメントの実状、対象者が受けた基礎教育・卒後教育の関連、看護専門職としての成長の具体的プロセスおよび相互に及ぼす影響について、現在分析中である。分析結果を活用し、今後看護系大学卒業者への質問紙調査票を作成する予定である。 研究2では、文献から、看護学教育に関連する国内外の文献検索により、働くことの具体的イメージ化につながる可能性のある教育方法を探索した。検索された文献を精読し、具体的イメージ化にどのようにつながるかという観点から、効果的な教育方法について整理した。
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