研究の全体構想は、働くという営みに関して求められる看護職者の能力について、ケア対象者の「働くことに関わる」看護ケアニーズを捉えた援助を行う能力と自らが看護専門職として働くことをマネジメントする能力という2つの側面が相互に影響し向上していくという考えに基づき育成する方法を、看護基礎教育から大学院教育、継続教育まで視野に入れて追究することである。 平成25年度においては、学士課程卒業者を対象とした調査を実施した。調査内容は、働くことに関わる看護ケアニーズを捉えた援助と看護専門職として働くことのマネジメントの現状と認識、学士課程で受けた基礎教育、看護専門職としての成長等であり、就業場所、看護経験年数などとの関連を把握した。本調査においては基礎教育で受けた教育内容等を把握する必要があるが、卒業後に基礎教育で受けた教育内容を卒業者本人からすべて把握することは困難であるため、研究者が基礎教育のカリキュラム・内容が把握できる所属大学の卒業者を調査対象とした。ただし、大学の卒業者情報データベースの使用許可が下りなかったため研究者3名が直接連絡をとれる卒業者に各研究者が個別に調査協力について口頭あるいは電子メール等で打診し、調査票の配布について了解が得られた対象者に、対象者が指定する方法(自宅あるいは勤務先への郵送、手渡し等)にて調査票を配布した。調査票を配布した卒業者は、卒後2年目から10年目までの114人、回収は85人(回収率74.6%)であった。これらの結果および前年度までの調査結果から、看護基礎教育における「働くこと」のイメージ化を促進する教育方法を検討した。
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