研究課題/領域番号 |
22592618
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
島田 広美 順天堂大学, 医療看護学部, 准教授 (00279837)
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キーワード | 看護学 / 高齢者 / 内部障害 / 廃用症候群 / 看護方法 |
研究概要 |
内部障害を有する高齢者は、症状が急性増悪し入院となる場合が多く、治療の一つとして安静が指示され、治療後早期に活動を開始しようとしても、苦痛を伴うため患者の協力は得られず、介入が困難となり、廃用性変化が生じ、その後の回復に時間を要してしまう現状がある。治療とともに適切な時期に看護介入するための基準と方法の開発が必要であると考えた。そこで、平成23年度は、介入基準開発の第二段階として、高齢者専門病院の看護師が患者の活動性回復に向けて実践している看護を明らかにした。 2施設4名の看護師の面接内容を逐語録とし、類似した内容ごとにコード化、カテゴリー化した。結果、看護師は<廃用症候群をおこさないという心構え>を持ち、入院前の日常生活獲得を目指し、まず、床上安静による悪影響を最小限にするために、日常生活援助の中に<苦痛なく動くための機能を保つ>援助を行っていた。同時に患者を動かすことはできないかタイミングをつかみ、<症状と廃用性変化の影響を評価し動かし始める>援助を行っていた。日常生活の中で負荷の少ない活動から段階的に活動の機会をつくり、<患者の状態を評価しながら活動度を調整する>援助を行い、退院に向けて退院時の患者の状態を予測し、できることの認識を促し、<安全・安楽に活動する方法の獲得を支援する>援助を行っていた。看護師はこれらの援助を行う際に、患者に関心を寄せ、動けなかった状態から、動いてみようと思える状況を作ったり、患者の意向を確認しながら活動の方法を提案し<動く意欲を引き出す>援助を行っていた。内部障害を有する高齢入院患者の活動性回復に向けた看護とは、訓練としてではなく、看護師が介入のタイミングと活動の程度を詳細に吟味しながら、慎:重に日常生活の援助を通して、高齢患者の活動を活性化することで、入院前の日常生活動作の獲得をもたらすものであると考えられた。これらの結果は、一般病院で活用可能な介入基準と看護方法が提示されており、医療現場における高齢者看護の質向上に寄与するものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
廃用症候群の実態を明らかにするために、小規模サンプルにおける追跡調査を計画していたが、研究協力施設との調整が困難となった。そこで、呼吸器や循環器疾患などの内部障害を有する患者の廃用症候群の予防を積極的に行っている病棟の看護師へのインタビューから、肺用症候群及びケアの実態を把握する方法に変更したため、調整に時間を要し、試案作成までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、平成23年度の結果をもとに、一般病院に入院している内部障害を有する高齢患者の治療に伴って出現する廃用性変化の介入基準と介入方法の試案を作成する。試案は、専門家(実践家・研究者)による討議を行い、信頼性・妥当性を高め、修正し、看護介入の基準と方法を開発する。 平成23年度の結果については、老年看護学会に発表予定。平成24年度は最終年度にあたるため、まとめ、報告書作成、学会発表の準備、投稿準備を行う。
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