研究課題/領域番号 |
22592620
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
三村 洋美 昭和大学, 保健医療学部, 准教授 (30382427)
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研究分担者 |
人見 裕江 近大姫路大学, 看護学部, 教授 (30259593)
衣笠 えり子 昭和大学, 医学部, 教授 (10161522)
水内 恵子 福山平成大学, 看護学部, 講師 (60521812)
吉田 寿子 九州大学, 医学研究科, 研究員 (60437788)
古江 知子 昭和大学, 保健医療学部, 普通研究生 (00447137)
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キーワード | 腹膜透析 / エンドオブライフ / 地域連携 / セルフケア / QOL |
研究概要 |
本研究の最終目標はエンドオブライフまで在宅支援を行えるような基盤を整備することである。これにより腹膜透析療養者がエンドオブライフまで療養者の在宅で療養者のセルフケア能力を最大限に発揮して生きることができる。平成22年度に地域連携で腹膜透析療養者のエンドオブライフまでの継続ケアの研修会・ワークショップを行い、平成23年度はケースを継続支援した。3つのモデル地区で各ケースにグランドモデルを基本としてモディファイモデルを作成し、そのメンバーで継続的にケースカンファレンスを行いながらデータを蓄積した。本年度は5例のケースを支援し3例が死亡したが、3例ともエンドオブライフケアは在宅で行えたが臨終は病院で迎えることとなった。そこで、3例において関わった医療・福祉専門職にヒアリングを行い、エンドオブケアとして臨終を病院で行うと決定した理由について整理した。3例とも支援の内容として共通していた点は「できるだけ在宅ですごす」という目標において臨終の2日前か前日まで在宅で過ごすことが出来た点、透析治療は血液透析への変更を行わず腹膜透析を行った点であった。ヒアリングでは、訪問看護師が病院への移送を決意したきっかけは、療養者本人の意識がある限りでは在宅療養を希望していたが家族が最期を看取れないと言い「家族の強い希望」で入院という苦肉の決定であった。介護職者は療養者本人の意思を家族と訪問看護師に投げかけたが「家族と訪問看護師の相談の上」最期を病院で過ごすことになり納得いかない結果となった。3例中1例は看護師のケアマネージャー、2例は福祉職のケアマネージャーであった。ケアマネージャーは最期は「家族の意向」に従った。療養者自身はこれで良かったかと悩んでいる。この結果を踏まえ、次年度は本人の意思の確認の方法とその援助者、エンドオブケアを最期まで在宅で行うことを決める時期、家族の支援について検討することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は最期の時まで在宅でエンドオブケアを行えるようにケース支援をしたいと考えていた。3例の臨終があったが臨終の2日前から前日に入院し病院で最期を迎えた。療養者の希望は在宅で最期を迎えることであったため、本人の意向に沿えなかった理由について明確にする必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
最期の時まで在宅で過ごせるようにするためには、家族の支援に重点を当てることの重要性が分かった。誰でも家族が臨終を迎える時の動揺があることが普通であるが、最期を穏やかに過ごすことができるような準備を家族を含めて療養者に行わなくてはならない。療養者がその人らしく命を全うするためには、療養者自身の意思に従えるように、エンドオブケアを支援する医療・福祉専門職者と家族で共有する機会をもつことが必要である。そのため、本人の意思の確認の方法とその援助者、エンドオブケアを最期まで在宅で行うことを決める時期、家族の支援について検討しなければならない。どのように最期を迎えるかということについては、エンドオブライフに入った時点ではなく、透析治療を始める時から考えていくことであるため、療法選択外来の役割をグランドモデルに位置付けることも考えている。また、療養者の意思の確認はケアマネージャーだけではなく、複数の援助者で行い、療養者の意思に従って最期の準備をすることに取り組む予定である。
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