研究の全体構想は、身振り表現の媒体として、遣い手による直感的な振り付けが可能な等身大の人型ロボットを開発することである。粘土製オブジェを手でこねてアニメーションを作るクレイアニメのように、遣い手が直接ロボットの各関節を任意に動かした後、ロボットがその動きを再現することにより、遣い手がロボットに対する制御知識がなくても、振り付けることができるシステムを構築した。関節を動かすモータにはDCモータを用いた。そのギアボックス裏側に取り付け可能な制御通信基板を開発し、駆動するモータ部と制御通信部を一つにした機電一体型モータ駆動モジュールとした。このモジュールは2種で構成される。一つはマスターユニットでもう一つはスレーブユニットである。 マスターユニットは自身のモータと3つのスレーブユニットのモータの計4軸同時制御が可能である。マスターユニット同士をRS485 通信で直列につなぐことができるので、さらなる多軸制御が可能である。 平成24年度は木製フレームの造形と身振り表現の向上を試みることで、スタイリングの向上を図った。木製フレームの一部に黒檀などを用いて工芸的美観性を高めた。また、各関節を任意に動かした後、簡易にデータを記録することができるように、ソフトウェアのユーザーインタフェイスを改善した。開発したシステムでは、遣い手は関節を動かした後、アプリケーション画面の「現在地キャプチャー」ボタンをクリックすると関節の位置を記憶させることができる。この作業を繰り返し行うことで、一つの連続した動きをコンピュータ上に記録することが可能である。
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