研究概要 |
本研究では,これまで研究代表者が提案してきた「予測運動表示」と呼ぶ宇宙ロボットの操作支援手法を基に,『人間の技量(スキル)を向上させる手法を確立する』ことが目的である.この手法は,視覚情報を提示することで,人間の制御則を無意識のうちに変えることで操作性を向上させることができる.予測運動表示は,不安定な系を扱う様々なスキルに対し有効である可能性があり,これを本研究により検証する.ただし,人間は視覚情報だけではなく,体性感覚や平衡感覚なども利用しているので,これらの感覚と視覚情報である予測運動表示が互いにどのように影響を与えるかが一つの焦点である.また,予測運動表示を利用することで,人間がスキルそのものを学習することができるかどうかという点も検証する. 平成22年度は,主に移動体の運転スキルに関する検証を行うためのシステム開発を行った.フリーフライング宇宙ロボットと同様に,車の運転スキルに本手法が効果的であることが期待できるので,ロボットカーを新たに購入し,予測運動表示の効果を検証するための遠隔操作システムを構築した.操作者はハンドル,アクセル,ブレーキを用いてロボットカーを操作することができる.一方,物理シミュレータとハプティックインタフェースを結合し,VRの世界で予測運動表示の効果が検証できるようにすることで,多角的な検証が期待できる.そこでハプティックインタフェースを用いた物理シミュレータの構築に着手した.
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