脳幹正中部の縫線核群は、運動、感覚、自律神経系、記憶などの各種機能の調節に関与し、睡眠に対しても大きな役割を演じていることが知られている。本研究では、成熟ラット及び幼若ラットの延髄縫線核をカイニン酸を用いて傷害し、呼吸運動への影響を調べ、更に幼若ラットの延髄縫線核の傷害がその後の睡眠へ及ぼす影響を調べた。成熟及び幼若ラットの延髄縫線核の傷害により呼吸頻度は一時的に増加したがその後減少し、無呼吸が誘発された。幼若期にこの部位を傷害した群は、その後、正常群に比べて睡眠が浅くなった。延髄縫線核の傷害は呼吸運動に影響を及ぼし、幼若期でのこの部位の傷害はその後の睡眠へも影響を及ぼすことが示唆された。
|