がん精巣抗原は、正常細胞では生殖細胞のみに発現するが、多様な種類のがんにおいて発現することから、治療のよい標的となる。そこで、このような分子の機能を解析することによって、治療戦略を検討した。その結果、減数分裂期のシナプトネマ複合体を形成する分子であるSYCP3とSMC1.は、がん精巣抗原であることが確認され、ヒト細胞における機能解析によって、これらの分子の体細胞における発現は、DNA二本鎖切断に対する相同組換え修復を抑制することが判明した。この結果により、これらのがん精巣抗原を発現するがんは、DNA二本鎖切断によって抗腫瘍効果を発揮する治療に感受性が高いことが示唆された。
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