本研究では、水/有機溶媒2相系でのTPPTSを配位子とする水溶性パラジウム触媒を用いたベンゼンチオールチオールのアリル化反応を検討した。この反応では、入手しやすいアリルアルコールをアリル源とするとともに、分岐体のアリルスルフィドを優先的に与えた。興味深いことに、撹拌速度が高い時には(1500rpm)、分岐体の選択性が高く、一方水/ヘキサンの界面が確認できる程度の低い撹拌速度(300rpm)時には、直鎖のアリルスルフィドが生成した。このような機械的撹拌操作により化学反応の選択性が制御されることは一般にはほとんどない。この反応は、界面に生成すると考えられるより触媒活性の高いη^1-アリルパラジウム触媒活性種がベンゼンチオールと優先的にS_N2'型で反応することにより、分岐型の生成物の割合が向上したものと考えられた。
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