本研究では、絶縁紙-氷複合絶縁系の電気絶縁特性を解明し、高温超電導ケーブルにおける新しい極低温電気絶縁構成の開発を促進することを目的とした.主な結果は下記の通りである. (1)絶縁紙-氷複合絶縁系の極低温領域における静電容量特性と交流絶縁破壊特性を評価した. KP-氷複合絶縁系は、液体窒素に浸漬したKP絶縁系よりも、低容量化し、高い絶縁破壊の強さを有することがわかった.このことから、紙-氷複合絶縁系を適用することにより、低容量かつ高耐圧又はコンパクトな超電導ケーブルが実現できる可能性が示された. (2)極低温領域における多層絶縁紙(PPLP)自身の絶縁破壊の強さは、絶縁紙単体より高いことがわかった.さらに、正極性の絶縁破壊の強さは、負極性よりも高いことがわかった.これは、負極性課電時においては、負電荷が絶縁紙内に蓄積する又はPP内に電荷が侵入しないことより、実効厚さを薄くすることで絶縁破壊の強さが低下したと考えられる.
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